部屋に観葉植物があるだけで、暮らしがもっと豊かに、もっと素敵になるでしょう。
店先には個性あふれる姿の観葉植物が並んでいます。
飾り方や楽しみ方のバリエーションもいろいろあります。
そんな観葉植物とはそもそもなんでしょう?以下に簡単に解説しました。
観葉植物ってどんな植物?
「観葉植物」とは、「葉を観賞する植物」という用途でグループ分けされた植物を指す言葉です。
葉を観賞する植物には花壇や庭植えで楽しむ植物もありますが、一般に観葉植物として扱われるのは主に室内で観賞する植物です。
多くは低温に弱く、直射日光が当たらない環境でも育つため、室内での栽培に適した植物たちです。
観葉植物の自生地は、熱帯、亜熱帯などが中心ですが、世界中からさまざまな植物が導入されています。
中には少々の寒さでは問題のない種もあれば、最低温度を15°C以上に保たないと元気がなくなる種もあります。
窓辺において十分に日光に当てないと元気がなくなるものや、室内のやや暗い場所でも耐えるものもあります。
ひとくちに観葉植物といっても、その性質はさまざまなのです。
自生地の環境を知って栽培に生かそう
観葉植物を上手に育てるには、その植物の自生地を知り、できるだけその環境に近付けてやることが大切です。
植物は、本来その植物が自生していた場所の環境を好みます。
熱帯雨林の湿潤な地域で大樹の下に自生する植物と、砂漠のような乾燥した地域に自生する植物とでは、適する環境が全く違うことは容易に想像できるでしょう。
その植物が本来持っている、生長の様子を知ることも大切です。
例えばヤシの木は自生地では数mに生長しますが、鉢物として出回るのは小さな手の平に載るほどのミニ観葉から部屋の天井に付くくらいの大鉢までさまざまです。
本来大きく育つ植物をコンパクトに仕立てたいなら、まめに剪定したり、植え替えのときに根を切り詰めるなどの手入れが欠かせません。
管理の是非は、草姿に表れる
室内で楽しむ観葉植物は、植物の中でも最も身近な存在といえるかもしれません。部屋にひと鉢の観葉植物があるだけで、心のゆとりや安らぎを与えてくれることでしょう。
ただし、室内に置いただけで「みどりの効果」が表れるわけではありません。
健康でいきいきとした植物の姿こそ、生活に豊かさを与えてくれるのです。元気に育っている植物を見ると心地よく感じますし、手入れをするのも楽しくなります。
一方、元気がない植物を見ると気持ちが落ち込みますし、手入れも楽しくなくなるものです。
観葉植物は言葉を話すことはありませんが、それ自身の姿で心地よさや不都合などを伝えてくれます。
よい環境に置かれ適した管理をしてもらっていれば、植物はいきいきとした姿に育ちます。
環境や管理が悪いときは、しだいに異変が生じてきます。
日頃から植物の状態をよく観察し、植物の出す「サイン」を見のがさないようにしたいものです。
ポイント
・植物の性質や生長の様子を知ろう
観葉植物は、本来大型に育つ植物の幼苗がさまざまな大きさに仕立てられていることも少なくないです。
・自生地の環境をなるべく再現しよう
霧が立ち込める熱帯雨林のジャングルに自生する植物は、乾燥する室内で栽培する場合には、霧吹きで霧水を与えて空中湿度を補ってあげましょう。
熱帯多雨林などの樹木の下に自生する
弱光&多湿を好む仲間
熱帯多雨林は、赤道周辺に見られるいわゆるジャングルです。
平均気温が18°C以上で、1年を通じて雨が多い環境です。
そのような場所に生育する樹木の下で、木漏れ日を浴びながら生育している仲間です。
家庭の室内で育てる場合には、レースのカーテン越しくらいの光が適しています。
主な植物
・カラジウム ・プレリス ・フィットニア ・アジアンタム ・レザーファン ・アスプレニウム
熱帯多雨林などの樹木の上に自生する
やや弱光&多湿を好む仲間
ジャングルのような環境に育つ大樹に張り付いて生育する植物たちは、やや明るい光を浴びて育ちます。
つる性植物ばかりでなく、地生種が気根を出して、樹木によじ登るように生育することもあります。
ほとんど毎日スコールが降るので、湿度は大変高い環境です。
主な植物
・シンゴニウム ・ポトス ・アンスリウム ・モンステラ ・フィロデンドロン ・アイビー
温帯、亜熱帯、熱帯の地域で高木に育つ
強光、やや強い光&やや多湿を好む仲間
太陽の光と雨の恵みで、ぐんぐん高く生長する植物もあります。
自生する環境はやや異なりますが、5mを超すほどになる種も珍しくありません。
観葉植物としては主に幼苗が出回りますが、コンパクトに仕立てたいときはまめに葉茎や根を切り詰めるなどの手入れが必要です。
主な植物
・コーヒーの木 ・ドラセナ ・ゴムの木 ・ディジゴセカ ・ベンジャミンゴム ・ヤシ
砂漠や熱帯季節林で乾燥にも耐える
体に水分を貯える仕組みを持つ仲間
熱帯季節林は、1年のうち限られた時期に集中して雨が降る雨季があり、それ以外は雨がほとんど降らない乾季です。
砂漠は雨がごく少なく、朝に霜が発生するだけの地域もあります。
このような厳しい環境に生きる植物たちは、体内に水分を貯える仕組みや、ふだんは休眠していて雨のときだけ生育する仕組みを持っています。
常に水を与えると、植物の生育にとってかえってよくありません。
主な植物
・グリーンネックレス ・サンセベリア ・ハナキリン ・アデニウム ・サボテン ・ハートカズラ
余談
同じ熱帯や亜熱帯地域でも熱帯多雨林の中でも、山地や高原など標高が高い場所は、温度が低く、朝は晴れていても日中は山腹以上が雲に閉ざされています。
サバンナは、乾季が半年以上続く地域です。いわゆるジャングルのような樹木の密生した森ができず、草本と低木が散生する環境が多くあります。
地域によって気候が違い、育つ植物の性質も異なります。
自生地の様子を知って栽培に生かそう
ここで紹介したほかにも、海辺に生育するシーグレープや岸壁に生育するシニンギアなど、観葉植物のふるさとはさまざまな環境です。
自生地の様子も知って生育に活かしましょう。