アデニウム(Adenium obesum)は、アフリカ原産の美しい観葉植物で、特にその独特な形状の幹と美しい花が魅力です。
別名「バオバブの木」とも呼ばれ、乾燥に強い多肉植物です。
ここでは、アデニウムの育て方や増やし方について詳しく解説します。
アデニウム
基本情報
アデニウムは、肉厚な幹を持ち上部に向かって細くなる独特な樹形が特徴です。
花は大きく、鮮やかな色合い(ピンク、赤、白など)で、特に春から夏にかけて開花します。
耐寒性は低く、温暖な気候を好むため、主に温室や室内で育てられます。
・別名
砂漠のバラ
・科名
キョウチクトウ科
・原産地
熱帯アフリカ
・日当たり
ひなた
・冬越し温度
最低10°C以上
茎の基部が壷状に膨らみ、やや灰色を帯びた葉が茎の先端近くにつくユニークな形。
蛍光色のように鮮やかな色の花が多い。
名前の由来や品種の特徴
乾燥した地に生育し、鮮やかな花をつけることから、「砂漠のバラ」と呼ばれます。茎が多肉質で株元が壷のように膨らみ、葉は先端に近い部分に付くユニークなフォルム。ゴツゴツした印象の株姿と端整な花の対比も魅力です。花は赤、ピンク、白などがあり、白花の「トロピカルスノー」など園芸種もあります。花は次々と長期間にわたって咲くので、長く楽しめます。
自生地での様子
乾燥気味の気候で、やや荒れた地の日当たりの良い場所に自生します。樹高は2〜3mほどですが、極わい性種もあります。
栽培下での生長の様子
日当たりの良い場所では次々と新芽が出ます。株元の膨らみも大きくなり、鉢いっぱいにまで膨らむこともあります。開花するまでに育っている株なら、5〜7月に花が咲きます。温度や管理によっては1年中花を咲かせることも可能です。
育て方のポイント
置き場所
陽光を好むので、室内では日光が当たる場所に置きましょう。夏に屋外に出す場合も、徐々に慣らしながら直射日光に当てると、がっしりした株に育ちます。
日当たりが悪いと、茎が細くなったり間延びしてバランスが悪くなります。
水やり
乾燥にはとても強く、多湿を嫌います。
成長期には定期的な水やりが必要です。
春〜秋は土の表面が乾いたらたっぷり与え、冬は土の表面が完全に乾いた数日後に与えるくらいでよいでしょう。
土
アデニウムは排水性の良い土壌を好みます。
市販の多肉植物用土やサボテン用土を使用するのが良いですが、自分で作る場合は、赤玉土、腐葉土、砂を混ぜた土が適しています。
これにより、根腐れのリスクを減らすことができます。
肥料
アデニウムには、成長期に液体肥料を2〜4週間に1回程度与えると良いです。
特にリン酸を多く含む肥料が適しており、花をたくさん咲かせるために役立ちます。
秋から冬までは肥料を控えます。
温度と湿度
アデニウムは温暖な気候を好み、最低でも10℃以上を保つ必要があります。
特に冬場は寒さに弱いため、氷点下になる地域では室内で育てることが推奨されます。
湿度はあまり気にする必要がありませんが、通気性をよく保つことが大切です。
病害虫対策
アデニウムは比較的病害虫に強いですが、以下の点に注意が必要です。
・アブラムシ:葉の裏に見られることが多く、見つけ次第、肥料で洗い流すか、石鹸水をスプレーして駆除します。
・根腐れ:水やりが多すぎると根腐れを起こすことがあるため、適切な水やりを心がけることが重要です。
花芽にアブラムシ、葉と茎の付け根にカイガラムシなどがつきます。
仕立て直しと増やし方
5月から8月にかけて、剪定や植え替え、挿し木などが行えます。大きくなりすぎた場合や見た目のバランスを崩す茎がある場合は、好みの位置で剪定します。
株元が太って土が見えないほどになると、うまく水を与えられません。また、鉢が根でいっぱいになって根詰まりを起こすと、水を与えても吸収できなくなります。
ひと回り大きな鉢か、根鉢を1/4ほど切ってから同じ大きさの鉢に植え替えます。
茎が長く育ち過ぎたら剪定する
伸び過ぎた茎は好みの位置で剪定しましょう。切り口付近から再び新芽が伸びるので、バランスを考えて切る位置を決めます。
1、中央の茎が長く伸び過ぎ、全体のバランスを崩してしまった株は、好みの位置で剪定しても良いが、そこから再び新芽が出て枝が伸びます。例えば3つ枝の真ん中だけが長い株の場合、茎の途中で切ると上部のバランスが重くなるので、思いきって根元から切り戻すのがいいです。
2、茎の根元から3㎝ほど上の位置をハサミで切ります。
3、切り口から白い樹液が出ます。乾くまでは風通しの良い日陰に置き、切り口を触らないようにしましょう。
4、2ヶ月たち、茎の根元にあった新芽が伸び、バランスの良い株姿になります。
剪定した茎を利用して挿し木で増やす
剪定した茎を挿すと、株を容易に増やせます。ただし、挿し木をした株は株元が膨らみません。壷のような形を楽しみたいときは、タネをまいて育てます。
1、7〜10㎝ほどの長さに、鋭利なハサミで斜めに切ります。切り口から出る白い樹液は、皮膚に付くとかぶれることもあるので触ってはいけません。風通しの良い日陰に1日ほど置いて、切り口を乾燥させます。
2、湿らせた差し床用土に、はしで3〜4㎝の深さの穴をあけます。
3、挿し穂を挿し、周囲の土を軽く押さえます、新芽が勢いよく生長を始めるまでは、風通しの良い日陰に置き、水はやや控えめに管理します。
倒れそうな場合は支柱を立てておくと良いです。
種まきで増やす
1、種の準備:健康なアデニウムから収穫した種を使用します。
種は乾燥した状態で保存しておきます。
2、土の準備:排水性の良い土を用意し、ポットやトレイに入れます。
3、播種:種を土の上にまき、軽く土をかぶせます。
水やりは控えめに行います。
4、発芽:約2週間から1ヶ月ほどで発芽します。
発芽後は、明るい場所で育てていきます。
その他の手入れ
剪定
アデニウムは成長が旺盛なため、定期的に剪定を行うことが重要です。
特に、形を整えたり、古い葉を取り除いたりすることで、健康的な成長を促します。
冬越し
冬は成長が鈍くなるため、室内で育てる場合は温かい場所に移し、肥料を控えめにします。
必要に応じて、水やりも減らします。
まとめ
アデニウムはその美しい見た目と独特な形状から、多くの人々に愛されている観葉植物です。
適切な環境で育てることで、長い間楽しむことができます。
また、種まきや挿し木による増殖も簡単で、多くの株を手に入れることができます。
植物の成長を楽しみながら、アデニウムを育ててみてください。
これからも美しい花を咲かせるアデニウムとの日々を楽しんでください。