目次
アジアンタム
[別名]
ホウライシダ、クジャクシダ
[科名]
ホウライシダ科
[原産]
熱帯アメリカ
[日当たり]
半日陰
[冬越し温度]
最低5°C以上
名前の由来や品種の特徴
アジアンタムの名は、葉に霧を吹いても水をはじいて濡れないところから、「湿らない」を意味するギリシャ語に由来して名付けられました。
葉が細かいアジアンタム・ラディアナム(ホウライシダ)の園芸種「ミニマ」や「フリッツルーシー」
葉と株姿が大きめのアジアンタム・ペダツム(クジャクシダ)、小さい葉が粗く付くアジアンタム・テネルム
葉がごく大きい(小羽片が2〜4㎝ほど)アジアンタム・トラペジフォルメなど多くの品種が出回っています。
自生地での様子
湿度が高く、日が強く差さない森の下に生えています。
株全体が大きく茂り、ラディアナムは高さ80㎝ほどに生長します。
栽培下での生長の様子
ボリュームが増し、枝が長く伸びるとしだれるように生長します。
大鉢植えなら葉が大きな種、小鉢やミニ仕立てなら葉が小さな種を選びましょう。
育て方のポイント
[置き場所]
室内ではレースのカーテン越しの日光に当てて育てます。
夏に屋外に出す時は半日陰におきます。
耐陰性もありますが、暗い場所に長く置くと、間延びして軟弱な株に育ちます。
[水やり]
春から秋は表土が乾く前に与え、冬は表土が乾いてから与えます。
乾燥すると葉がチリチリになり枯れるので、まめに霧吹きで霧水を与え、夏は葉水を与えましょう。
[肥料]
春に緩効性肥料を与えるか、春から夏に薄めの液肥を与えます。
[病害虫対策]
まれにアブラムシが付くことがあります。
屋外に出した株はナメクジの被害に注意しましょう。
仕立て直しと増やし方
株が大きく育ってバランスが崩れたり根詰まりして葉色が悪くなった株は、4〜7月に植え替えます。
根鉢を1/3ほど切ってから同じ鉢に植えるか、株分けしましょう。
強光に当てたり乾燥した場所に置くと、葉がチリチリになって枯れてきます。
思いきって地ぎわまで切り戻し、ビニール袋などに入れて保湿して日陰に置くと、約1ヶ月で新芽が出ます。
How to care 1
まめに霧水を与えて育てる
葉がごく薄いため、保水力があまりありません。水やりを忘れないようにし、まめに霧水を与えて育てましょう。
水やりが遅れると、葉先が垂れて内側に丸まってきます。
万が一水やりが遅れた場合も、葉がチリチリになる前の萎れた程度なら、半日ほどで回復します。
鉢土に水を与え、ビニール袋に入れて霧吹きで霧水を与えてから日陰に置いておきましょう。
株が元気になっても葉先が元に戻らない場合は、枯れた部分を切っておきましょう。
How to care 2
葉が黒く枯れたら切り戻す
強光に当てたりエアコンの風が当たるなど、環境の変化で葉が黒っぽく枯れた株は、枯葉を切り戻します。
1、水やりが不足していなくても、季節の変わり目や寒さや風に当てたり乾燥させたときに、葉が黒く枯れることがあります。
それまでと違った場所に移動した場合も、同様に枯れることがあります。
2、枯れた枝や折れた葉は根元から切ります。
3、乾燥させないようにまめに霧水を与えながら、レースのカーテン越しくらいの日光に当てて管理します。
4、半月ほどで、元の株と同じくらいにまで生長します。
5、株が順調に生長し、約2ヶ月後にはふんわりと葉がしだれるほどに大きくなります。5〜8月は薄めの液肥を与えて育てましょう。
How to care 3
被害が大きいときは株元で切り戻す
葉が枯れた分量が多くダメージが大きい場合には、思いきって株元から切り戻して仕立て直しましょう。
1、植え替えが遅れたために根詰まりを起こし、水を与えても吸収できずに水切れしたような被害が大きい株は
仕立て直しをして新しい用土で植え替えます。
アジアンタムはほかの要因でも葉がチリチリに枯れるトラブルが起きますが、同様に対処しましょう。
※手入れが悪かったり、植え替えが遅れると
葉色が全体に淡くなり、先端から茶色に変色して枯れ込んできます。
株元に出た雑草をそのままにしておくと、鉢内に雑草の根がはびこるので注意です。
古い葉ばかりになり、新芽が伸びてこなくなります。
[株を切り戻す]
2、地ぎわから3㎝ほど残して、葉を全て切り捨てます。
新芽が出ている場合には、新芽を切らずに残した方が回復が早いです。
[植え替える]
3、鉢から株を抜く、株が抜けにくい時には、鉢底穴に親指を入れて押し上げながら、鉢を軽く床に叩きつけると良いです。
4、鉢から株を抜いたら、根鉢が固くなっている場合こぶしで叩き、古土を落とします。
5、指でほぐすようにしながら、古く傷んだ根を1/3ほど古土と一緒に落とします。
6、鉢底に鉢底ネットを敷き、ゴロ土を入れます。根鉢の分量に合わせて用土を入れます。
7、根の周囲に用土を足し、割りばしなどを土に挿し、前後に揺すって沈んだ分の用土を足し、土の間の隙間をなくします。
8、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えて植え付け完了です。
[保湿の工夫]
9、新芽を伸ばすには、湿度を保って管理するのがポイントです。水やりの後、鉢をゴミ袋などの大きなビニール袋に入れ、空気を入れてふんわりと結びます。1〜2週間は明るい日陰に置き、まめに霧水を与えながら管理しましょう。
[生長の様子]
10、植え替えから2週間が経つと、きれいな緑色の新芽が出てきます。
ある程度の大きさになれば、ビニール袋から出して大丈夫です。
明るい日陰に置き、まめに霧水を与えながら管理しましょう。
11、切り戻しをしてから1ヶ月半くらい経つと、外側の葉がしだれるくらいまでに生長します。
こんもりと株が育ち、観賞できるまでに生長していると思います。
この後も、直射日光は避け、曇りガラスを通したくらいの日に当てた方が元気に育ちます。
ポイント
[まめに霧水を与え、自生地の環境を再現しよう]
アジアンタムは、自生地では霧が立ち込めるような場所に生育しています。
家庭で育てる場合も、できるだけ同じような環境をつくってやることが大切です。
理想的には、株の周囲に霧を吹いて空中湿度を高めるのがよいのですが、室内に飾る場合はそうもいかないものです。
ベランダやキッチンなど、周囲が濡れてもよい場所に株を移動し、葉に霧を吹きましょう。
室内の乾燥を防ぐために加湿器を利用するのもよいですが、加湿器から出る霧が株にかからないようにしましょう。
その場合も、ときどき霧水を与えながら育てます。
[葉の表と裏に霧を吹く]
霧水を与えるときは、葉の表と裏の両方に霧を吹きます。できるだけ遠くから、やさしい霧水を株全体にかけるのがポイントです。
[ビニール袋に入れて霧を吹くのも手です]
周囲を濡らしたくないときは、ゴミ袋などを利用し、袋の中に株を入れて霧水を与えるのも一つの方法です。