パキラの基本情報
・別名
カイエンナッツ
・科名
キワタ科
・原産地
メキシコから中南米
・日当たり
日なたと半日陰
・冬越し温度
最低5°C以上
名前の由来や品種の特徴
種名のアクアティカは、原産地では水辺など水気の多い場所に生えることに由来して名付けられました。
ただし、現在出回っているのはグラブラ種との説もあります。
原産地では大量にできる種子を焼いて食用にします。大鉢では、太くがっしりした幹から枝葉を出す朴仕立ての鉢や、下葉を落として三つ編みに仕立てた鉢などが出回ります。
葉がツヤツヤとした濃い緑色種のほか、白や黄色の斑が入る「バリエガタ」などもあります。
自生地での様子
熱帯の日当たりの良い場所に生育する常緑高木で、樹高は20mほどにもなります。
栽培下での生長の様子
小鉢から大鉢まで、好みの大きさで楽しめます。丈夫で生育が早く、新芽が次々と出て葉数が増え、幹が太ります。
大きく育って株姿が乱れやすいので、早めに切り戻して仕立て直しましょう。
育て方のポイント
・置き場所
室内では、日光が当たるところに置きます。
夏に屋外に出す場合は、明るい日陰に置きます。
比較的光線不足にも耐えますが、枝が細く間延びした株姿になり、下葉が落ちることがあります。
・水やり
ある程度乾燥にも強い植物ですが、湿潤を好むので、春から秋は表土がやや乾いたらたっぷりと与えます。
乾季には落葉する性質なので、水切れすると葉を落としますから注意しましょう。
冬は水やりを控えめにし、霧水を与えます。
・肥料
春に元肥として緩効性肥料を与え、株を大きくしたいときは春から夏に薄めの液肥を与えます。
・病害虫対策
ときどき葉水を与えてハダニを防ぎます。
アブラムシやカイガラムシが発生するので、早めに対処します。
仕立て直しと増やし方
生長が早く、植え替えが遅れると根詰まりを起こして、水分を十分吸収できずに落葉します。
株が育ってバランスが悪くなったら、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。
どの位置で切ってもよく芽吹くので、大きくしたくない場合は好みの位置で剪定し、根を1/3ほど落として植え替えます。
姿が乱れた株は取り木をする
日当たりが悪い場所で育てると下葉が落ちて幹が細くなり、株姿が乱れます。
取り木をして新しい株をつくり直しましょう。
1、光線が不足したために幹が弱々しく育ち、下葉が落ちてしまった株は、順調に育っている葉を生かし、取り木をして新しい株をつくり直します。
2、バランスを崩す枝を根元から切ります。
3、親株から切り分けた後の姿を想定し、葉が残っている部分の下で取り木をします。
慣れないうちは、切り込み位置にペンで印をつけると作業しやすいです。
4、1〜2mmの深さの切り込みを入れます。
5、切り込みを入れた部分の表皮をはがします。
緑色を帯びた部分(形成層)を残さないように、堅い木質部を露出させます。
6、露出させた部分に湿らせた水苔を当て、団子状に包みます。
7、水苔の上をビニールで包み、上下をビニタイなどで留めます。
8、取り木作業の完了です、直射日光の当たらない場所に置き、水苔を乾燥させないように管理しましょう。
大きく育った株は剪定する
生長が早く、順調に育つと飾る場所に困るほどになります。
思い切って短く切り戻しても、すぐに観賞できる株に育ちます。
1、もてあますほどに大きく育った株は、日当たりが悪い場所で育ったために、幹が細く見た目のバランスが悪いです。
思い切って短く切り戻してから、植え替えます。
2、前回切り戻した位置から幹が伸びたが、支柱を立てないと倒れてしまうくらい弱々しく育っています。
そこで曲がって伸びたところで切り戻します。
3、鉢から抜くと、株の大きさに比べて根の伸長がやや悪く、冬の水やりが多すぎた可能性があります。
冬はやや乾かし気味に育てましょう。
4、寄せて植えてあった2株を、なるべく根を傷つけないように分けます。それぞれに適した大きさの鉢に植え付けます。
5、鉢底にゴロ土を入れてから、用土を少量入れます。
6、鉢の中央に株を植え付けます。
はしなどを土に挿し、前後に揺すって沈んだ分の土を足して隙間をなくします。
7、同様にして2株を植え付けます。たっぷりと水を与え、新しい芽が伸び始めるまでは、半日陰に置いて管理しましょう。
挿し木や取り木の発根のタイミングはどうやって知る?
挿し穂から新芽が勢いよく伸びてきたら、根も伸び出したサインです。
新しく伸びた根から水分や養分を吸収できるようになると、新しい芽を伸ばし始めるからです。
取り木の場合は、環状剥離(かんじょうはくり)した部分に巻いた水苔の間から根が見えるのでわかりやすいでしょう。
挿し木
・新芽が勢いよく生長していたら根が出たサインです。
取り木
・新芽が出ているのにいつまで待っても根が見えないときは、うまく発根しなかった可能性があります。
・過度にカルス(切り口にできる治癒組織で、かさぶたのようなもの)が形成すると、発根しないこともあります。
8、植え替えから約2ヶ月で、観賞できるまでの株に育つと思います。
できるだけガラス越しの直射日光が当たる場所に置き、がっしりした株に育てましょう。
実生株と挿し木株は株姿が異なるのに注意
タネをまいて育てた実生のパキラは、株元が膨らんでとっくり状です。
一方、挿し木で増やすと、大きくなっても株元が膨らまずにまっすぐに育ちます。
とっくり状の株姿を楽しみたいなら、実生株を入手しましょう。
ミニ観葉として売られている実生株を大きく育てたり、自分でタネをまいたりして育てるのも楽しいものです。
挿し木で増やした株は、株姿がすっきりとしているので、数本を寄せ植えしてもよいでしょう。
また、幹が細いうちに三つ編みしたり、ねじって仕立てるのにも適しています。
剪定した枝を利用して挿し木で増やす
剪定した枝を挿すと、株を容易に増やせます。葉が付いている部分でも葉がない部分でも、挿し穂にできます。
1、枝を10〜20㎝くらいに切り分けます。
2、先端を鋭利なハサミで斜めに切ります。
3、湿らせた挿し木用土に、はしなどで斜めに穴をあけます。
4、鉢縁に寄り掛からせるようにして、1/3〜1/2ほど挿します。
5、土を軽く押さえ、風通しのよい明るい日陰に置き、挿し床が乾かないように管理しましょう。
6、挿し木をして約2ヶ月が経つと、新芽が伸びて葉が開き、観賞できるまでの株に育っていると思います。
適する大きさの鉢に栽培用土で植え替え、日当たりのよい場所に置いて薄い液肥を与えて育てましょう。