今では贈り物の定番の胡蝶蘭、名前は聞いたことはあるけどいざ贈ろうと思った時にどういった用途の時や金額、サイズがよくわからないということもあると思います。
その他、胡蝶蘭を頂いたけど育て方、お手入れ方法がわからない、せっかく頂いたのでなるべく長持ちさせたいなどもあると思います。
こちらではそういったお悩みをすべて解決できるように、胡蝶蘭についてまとめました。
第1章 胡蝶蘭の贈り方
胡蝶蘭とは?
胡蝶蘭
学名:Phalaenopasis
英名:Moth Orchid
属名:ファレノプシス属「略号Phal」
科名:ラン科
原産地:フィリピン・インドネシア・パブア・ニューギニア・台湾南部など赤道を挟んだ南北回帰線付近
生産時期:通年・主に3〜5月
花色:白・桃・オレンジ・黄・黄緑・赤・複色などetc
花言葉:「幸福が飛んでくる」「あなたを愛します」
[胡蝶蘭]とはギリシャ語のphalaina「ファライナ・蛾」とopsis「オプシス・似る」という言葉から花の形が蛾に似ていることから名付けられています。
日本では、蝶が飛んでいるように見えるということから、「胡蝶蘭」と言われています。
熱帯アジア圏内、インドネシア・フィリピン・台湾などに多く分布しており、胡蝶蘭の原種は高い樹木の幹に着生する単茎性の植物で子株を分けることができません。
気候も日光が降り注ぐような場所よりも、やや光が差し込むような風通しの良い場所を好みます。
元々が熱帯圏の植物なので、寒さには弱く・耐寒性もありません。
生花の中でも高級なお花という位置付けであり、企業間や個人間でも取引には欠かせないものとなってます。
花言葉に「幸福が飛んでくる」や「変わらない愛」という花言葉や白いその美しい様子から「清」「純」などのワードもあり、そういった言葉から胡蝶蘭を贈る方もいらっしゃいます。
胡蝶蘭のランク・グレード
胡蝶蘭のランク・グレード分けは以下のポイントでされていますので、胡蝶蘭を選ぶ際に参考にしてください。
胡蝶蘭の本数
胡蝶蘭は「〜本立」などと表記され、数が多ければ多いほど豪華になります。
一般的には3本立ちで贈る方が多いです、次に5本立ちです。
胡蝶蘭の花の輪数・1本の長さ
一本の株についている花の数のことで、数が多ければ多いほど長く垂れ下がり、長くなりより高価ということです。
花一輪の大きさ
胡蝶蘭には大輪・中大輪・ミディと花の大きさが異なる品種が多数あります。
もちろん大きければ大きいほど、見栄えも良いので豪華になります。
(企業間の贈り物では大輪を贈るのが一般的です)
余談:合計の輪数が同じ場合は、本数が少ない方がランクが上です
短い3本立ちより、長い2本立ちの方がランクが上ということです。
胡蝶蘭の良い選び方・見分け方
良い胡蝶蘭のポイントを以下にまとめました、胡蝶蘭を選ぶ際に参考にしてください。
お花の部分
・花びらが肉厚である
・お花が正面を向いて咲いている
・花びらの間隔が均等である
・シミや傷などが少ない
・蕾が2、3輪残っている
茎の部分
・太くてしっかりしている
・弾力がある
・色が濃い緑である
・艶がある
葉っぱの部分
・葉が肉厚である
・色が濃い緑である
・シワが少ない
・大きくて光沢、艶がある
全体的に
・花びらが大きくて、花が正面を向いている
・お花の間隔が均等である
・それぞれの花の長さ、株の長さが均等である
・左右均等にバランスがとれている
法人間の贈り物
法人間での贈り物のシーンとして多いのは「開業祝い」「開店祝い」「開院祝い」や「昇進祝い」「就任祝い」「当選祝い」など様々あります。
法人間で胡蝶蘭を贈る際のポイントを以下にまとめました、参考にしてください。
贈るタイミングを外さない
お祝いの種類によって胡蝶蘭を贈るタイミングが異なります。
「開業」「開店」「開院」などはオープン前日が好ましいです。
「昇進祝い」は正式な辞令を確認して1週間以内
「就任祝い」は就任当日もしくは就任式当日
「当選祝い」は全票が開票されて正式に当選が決定、発表されてから
胡蝶蘭を飾るスペースがある確認する
華やかで大きな胡蝶蘭は華やかではありますが、大きくてスペースを取るため相手を困らせてしまう場合もあります。
事前にスペースがあるか確認するなどの配慮もあるといいですね。
立て札は必ずつけましょう
多くの頂き物が並んだ時立て札があると、誰から宛てられたものかが分かりやすくなります。
またビジネスのお祝いの場合は、自社の企業名をアピールできるので効果的です。
胡蝶蘭の本数は奇数で贈る
お祝い事の場合は「割れない数」として胡蝶蘭の本数は奇数に揃えましょう。
一般的に多いのは3本立ちですが、より豪華にしたいときは5本立ちがオススメです。
個人間の贈り物
個人間の贈り物のシーンとして多いのは「新築祝い」「誕生日」「記念日」など様々あります。
「誕生日」「記念日」は当日ですが「新築祝い」は引っ越してから1週間程度が望ましいですね。
個人間の場合はメッセージなどが良いです
メッセージなどを添えて、あなたならではのお祝いの気持ちを伝えましょう。
贈る時の注意すべきタブー
せっかくのお祝いのシーンで嫌な思いにならないよう、タブーに注意しましょう。
注意すべきマナー・タブーを以下にまとめました、参考にしてください。
お祝い名、社名、役職名、名前を間違えない
・お祝いに限らず、相手の名前などを間違えるのは大変失礼なことです。
絶対に間違いのないよう何度も確認しましょう。
赤一色のラッピングは避ける
・赤色は「火事」「赤字」を連想させる色とされていますので、お祝い事には避けられています。
花弁の色やラッピングは赤一色にならないよう、気をつけましょう。
メッセージに忌み言葉はNG
・火事を連想させる「火」「煙」「燃える」など、「倒れる」「負ける」「破れる」「壊れる」というネガティブな言葉は、お祝いに相応しくないので避けましょう。
お見舞いに贈らない
鉢物は「根付く」「寝付く」と言われています、病気や怪我が治らず縁起が悪いとされていますので、胡蝶蘭に限らず鉢物はお見舞いに贈らないようにしましょう。
第2章 胡蝶蘭の育て方
こちらでは1日でも長く楽しんでいただけるよう、胡蝶蘭の育て方・管理方法をまとめました。
胡蝶蘭に最も必要なのは、設置する場所や季節によって管理方法が変わってくる、ということを知っておくことです。
季節別に細かくまとめましたので、参考にしてください。
飾る場所について
胡蝶蘭はもともと木漏れ日がさす、明るい日陰に咲きます。
胡蝶蘭にとってこの環境がベストなので、この環境に近い状態が望ましいです。
もっとも重要なのは、飾る場所と光です。
では実際にどのような場所が望ましいかというと、まず胡蝶蘭は風通しが良い場所を好みます、胡蝶蘭を飾る場合必ず風通しが良い場所に飾りましょう。
次に胡蝶蘭は光合成をすることで、栄養分を蓄えます。
光が全く当たらないと成長せず、お花が衰退してしまいます。
しかし、直射日光に当ててしまうと枯れる原因となります。
ですので、いくら風通しが良い場所でも直射日光に当たる場所は避けましょう。
日焼けが起きないような明るい光が、長時間当たる場所に飾るのが理想的です。
窓際以外飾る場所がない場合は、レースのカーテンなどで光を調節するなどの工夫をすると良いでしょう。
気温と湿度ついて
[湿度]
高温多湿の環境で育つ胡蝶蘭は、日本の夏の時期の湿度と近い環境なので、夏場の湿度に関しては気を使わなくて大丈夫です。
ですが、冬場の暖房機器を使用している時が一番重要となります。
冬場は空気が乾燥する上に空気を暖かくすることで、湿度がさらに下がります。
この状態で育てると、胡蝶蘭の蕾が黄色く変色したり、咲いている花や株自体が衰退してしまうので、1日に数回霧吹きで胡蝶蘭全体に水やりをする必要があります。
加湿器を使用するのも良いでしょう。
[温度]
胡蝶蘭の温度管理はとても重要です、季節や飾る場所によって温度が変化するので、季節によって温度を調節管理することが大事です。
夏場は風通しを気にしすぎると窓際の温度が上がってしまうので、お花が枯れる原因となります。
冬場は気温が下がりますのでそれが原因で枯れます。
ですので気温を管理しながらも、胡蝶蘭の飾る場所を考える必要があります。
保つ温度は20°C前後で管理するとお花が長持ちします。
できる限り暖房や冷房は消さずに管理することで、胡蝶蘭の花もちが良くなります。
とわ言え、冷暖房を消さずにいると電気代が上がってしまうので、できる限りで構いません。
その際、冷暖房の風が胡蝶蘭に直接当たらないように気をつけましょう。
風が直接当たることは胡蝶蘭に限らず、植物にとって良くありません。
[ワンポイント]
・胡蝶蘭は20°C前後の気温を保ちましょう
・季節によって冷暖房は消さずに管理しましょう
・湿度によって病気になることがあるので注意しましょう
・特に冬場の湿度に注意しましょう
水やりについて
(↑画像は根腐れしてしまった株)
胡蝶蘭の水やりには決まった回数などはなく、飾った場所や温度、湿度などによって変わってきます。
目安としては、植え込み部分の表面が乾いて水気がなくなっていたら与えてください。
胡蝶蘭は特に根腐れを起こしやすい植物なので、鉢の中が常に濡れている状態には絶対にしないでください。
植え込み部分の表面を強く押して、水気がないようならコップ2杯程度(大きさにもよります)の水を与えます。霧吹きでもいいです。
基本はたっぷり与えて乾くのを待つの繰り返しです。
乾き・水気を注意深く見ながら水やりを行います、気温が高い時は多めに、低い時は少なめにと気温で乾きも変わってくるので、水の量も調節します。
胡蝶蘭は乾燥が嫌いです、暖かい日や冬の暖房が効いた場所などでは、霧吹きで加湿してあげると花持ちも良くなります。
また、プレゼントでラッピングされた胡蝶蘭をいただいた場合、ラッピングなどはすべて外しましょう。
水が溜まって根腐れを起こす原因になります。
[ワンポイント]
・水の上げ過ぎに注意しましょう
・水を上げる時は植え込みの表面がしっかり乾いてから上げましょう
・水の量を気温に合わせましょう
花が枯れ始めたら
(↑上の方から枯れます)
胡蝶蘭の花は上から(根元)先端に向かって枯れていきます。
元気がない花や枯れた花は、随時取り除きましょう。
枯れた花はエチレンガスを発生させますので、そのまま放置しておくと他の元気な花を悪くしてしまいます。
急に枯れ始めた場合、病気の可能性も考えられますのでよく観察して対応しましょう。
もう一度咲かせる方法
(↑節がふっくら緑の部分で切りましょう)
枯れた胡蝶蘭はうまく管理すればもう一度花を咲かせることができます。
胡蝶蘭には5〜7個の節があります、そこに花芽になる可能性がある脇芽があります。
花が終わった花茎を、できるだけ高い位置の節を残して切ります。
株に問題がなく気温も20°C前後であれば1〜2ヶ月で、節から花芽がでて数ヶ月で開花します。
しかし、品種によっては開花させることが難しい品種もあるので、100%開花するとは言えません。
切る位置をできるだけ高い位置にすると花芽は出やすくなります、ですが花数が少なく茎の形も良くないので、立派な胡蝶蘭を開花させたい方は根元の方を切りそこから栽培に挑戦してもいいですね。
基本的に植え替えを行うのは病気や害虫で枯れた、来年に向けて花を咲かせるために行う作業です。
長く胡蝶蘭を楽しみたい方は、株の植え替えに挑戦してもいいですね。
[ワンポイント]
・植え替えをする場合は「病気になった」「害虫が寄生した」「花が終わった」時です
・植え替えの時期は「春から初夏の間」「初秋」が良いです
・植え替えは1年に何度も行ってはいけません
肥料について
胡蝶蘭はそのまま育てていても1ヶ月〜2ヶ月くらいは楽しめますが、市販で販売されている肥料を上手く使用することで、より長く簡単に花持ちを長くすることができます。
成長を促す液体肥料だけではなく、胡蝶蘭の温度をセーブする暖効性の化成肥料もありますので、冬場の胡蝶蘭にオススメの肥料です。
注意したいのは必ず使用方法に従って肥料をあげることです。
上げ過ぎたりすると逆に胡蝶蘭を痛める原因となりますので、必ず使用方法に従ってあげましょう。
[肥料の種類]
胡蝶蘭には[水に溶かす液肥][固形のまま使う暖効性の固形肥料]があります。
肥料はN-P-Kの窒素、リン酸、カリで配合比率が7-7-7や10-10-10などの成分が均等な水平型、10-8-10のようなリン酸が少ないV型を使用するのがオススメです。
それぞれの数字は量(%)を表しています、数字の小さいものほど多く与え大きいものほど少なく与えます。
固形肥料の中にPが大きいものもあり、[水溶性リン酸と苦溶性リン酸]の内訳が書かれていますが、胡蝶蘭に有効な成分は水溶性のリン酸ですので覚えておきましょう。
[一般的な肥料]
有機質肥料
・骨粉・・・リン酸主、油かすと混ぜて使えます
・油かす・・・窒素が多い、1ヶ月に1回程度、置き肥
・ぼかし肥・・・油かすと骨粉を7:3に混ぜて、発酵させた肥料
・バットグアノ・・・コウモリの糞で非常に効果のあるリン酸
化学肥料
・マグアンプK・・・時間をかけて溶け、効果が1〜2年続く遅効性の肥料
・エードボール・・・効果が2〜3ヶ月続く暖効性の肥料
・プロミック錠剤・・・効果が2〜3ヶ月続く暖効性の肥料
・ハイポネックス洋ラン液・・・N6:P6:K6の液肥
・ハイポネックス原液・・・N5:P10:K5のリン酸主の液肥
・エードポトリン3号・・・薄めずに使う液肥
・エード原液花用・・・N5:P10:K5のリン酸主の液肥
第3章 月別の手入れ方法
1月の手入れポイント
もともと熱帯アジア圏内の胡蝶蘭には厳しい時期です、寒さが苦手な胡蝶蘭は寒さに負けると、花が咲かなくなり成長が止まります。
どんな環境でも15°C以上は必ず保つことが大切です。
朝や夜の極端な低温にも十分に注意しましょう。
この時期はカーテン越しに光が差し込む場所が良いです、日が当たらない時間帯は暖かい場所に置きましょう。
暖房機器で温度管理しますが、胡蝶蘭に温風が直接当たらないよう気をつけましょう。
冬場の部屋はかなり乾燥しますので、葉の部分に霧吹きなどで水分補給をしましょう。
花びら部分に霧吹きは控えましょう。
水やりは表面が乾いて水気がなくなってから、与えてください。
乾燥してますが水の上げ過ぎは、根腐れの原因となりますので注意しましょう。
胡蝶蘭に大きな変化がない限り、この時期に肥料を与える必要はありません。
2月の手入れポイント
亜熱帯を好む胡蝶蘭にとって2月はまだまだ厳しい時期です、基本的には1月と同じようなお手入れで大丈夫です。
日は伸びてきていますが、まだまだ日の差し込む時間が限られますので日がある時間帯は、直射日光が当たらないよう日に当てましょう。
水やりも1月同様乾いたらたっぷりあげ、葉の部分にも霧吹きをしましょう。
その際、水の上げ過ぎで根腐れしないよう注意しましょう。
3月のお手入れポイント
3月は春の到来する季節で、だいぶ昼間の温度も上がってきます。
しかし、まだ昼と夜の温度差が大きい時期なので、大きい温度差が出ないよう管理には十分気をつけてください。
昼間の日に当て過ぎると高温となり、日焼けする場合もありますので注意しましょう。
この時期の元気な株は花が咲いてきます、温度管理に十分気をつけないとせっかくついている蕾が、開花せずに落ちてしまうこともあるので注意しましょう。
春なので植え替えと思いがちですが、植え替えはかなりのストレスがかかるので、本格的な春まで待ちましょう。
4月のお手入れポイント
本格的な春の到来です、夜の厳しい寒さもなくなり胡蝶蘭も夜間が過ごしやすいです。
しかし、日によっては日中の気温が上がりますので、乾燥に注意しましょう。
またこの時期に植え替えをするのがベストです、植え替えを考えてる方はこの時期がオススメです。
胡蝶蘭の植え替えには「水苔の植え替え」「プレサブの植え替え」の2つがあります、簡単な水苔の植え替えがオススメです。器は素焼きがオススメです。
胡蝶蘭の株を抜き腐った根があったら取り除き、ついている水苔を綺麗に取り除いてください。
器はサイズに合ったものを選びましょう。
水苔は前もって水を含ませ、ぎゅっと握り水を絞ります。
水分を含んだ水苔を株元にしっかり巻き付けて、丸く整え器にきつく植えます。
植え替えたあと数ヶ月は頻繁に水は与えず、葉のツヤがなくなり始めた頃にあげましょう。2週間前後が目安です。
2ヶ月くらい経つと新しい根が動き始めるので、水やりの間隔を1〜2日くらい早めます。
その後は鉢の水分がなくなってからたっぷり与えましょう。
葉の表面が乾燥してきてしまうと植え替えの失敗です、落ち着くまでは十分に注意して管理してください。
5月のお手入れポイント
胡蝶蘭にとって温度管理に悩まされない過ごしやすい時期です。
花が終わった胡蝶蘭にとっては成長の時期です、再度開花させたい方は肥料をあげて次の花の準備をしましょう。
肥料は市販のもので大丈夫です、水やりの時一緒に薄めた肥料をあげましょう。
5月になると日も強いので、日が当たり過ぎないように気をつけましょう。
その際、気温の上昇により水やりも多くする配慮も必要です。
もちろん水の上げ過ぎで、根腐れを起こさないよう注意してください。
6月のお手入れポイント
寒くもなく暑くもなく温度に問題はないのですが、雨の多い梅雨の6月は雨が続くと、日の光が少なくなるなどの問題が出てきます。
晴れてる時は日が当たりますが、6月はまだ日が強いので直射日光は厳禁です。
当て過ぎると花が焼けてしまいますので注意しましょう。
また雨が多いので湿度が高くなります、加湿し過ぎると花にシミが出やすくなるので、できる限り除湿をしてください。
5月に植え替えが出来なかった方は、この時期でもまだ間に合うので6月に植え替えを行っても大丈夫です。
水やりの際に市販の肥料を混ぜてあげましょう、もちろんやりすぎは根腐れの原因になるので注意してください。
7月のお手入れポイント
ジメジメした梅雨が過ぎるといよいよ初夏です、日の光も強くなってきますので光の当て過ぎに注意しましょう。
気温の変化が激しく、気温の変化により胡蝶蘭にストレスがかかりますので、十分に注意しながら臨機応変に水なりなどを行いましょう。
8月のお手入れポイント
人もバテるような暑い時期です、胡蝶蘭に取っても厳しい環境です。
冷房がない部屋では花や株が持たない可能性があります。
冷房の部屋でも風が直接当たらないよう注意しましょう。
エアコンをかけない時間帯は、直射日光が当たらない涼しい場所においてください。
肥料はこのまま与え続けてもいいですが、温度だけでもストレスになってますので様子を見ながら、調節しましょう。
この時期は暑さ対策をしっかりし、暑さを乗り切る管理をしましょう。
9月のお手入れポイント
残暑がまだ厳しい時期なので、8月同様温度に気をつけながら水やりをしましょう。
この時期も直射日光が当たらないよう、冷房などで温度調節をしながら管理してください。
10月のお手入れポイント
暑さも過ぎ秋の様子になる頃です、朝や夜によっては気温差が出てくるので15°C以上になるよう温度管理に気をつけましょう。
また10月は来年の春に花が咲くかどうかの大事な時期です、肥料もお水に混ぜてしっかりと与えてください。
胡蝶蘭も夏の疲れが出てきてますので、成長の様子を見ながらその時にあった肥料を選んで与えましょう。
11月のお手入れポイント
この時期になるとだんだん寒くなってきます、寒さに弱い胡蝶蘭は15°C以上の温度を保つようにしましょう。
特に夜の冷え込みには要注意です、寒い日は何らかの方法で保温対策をしてください。
太陽の光がある時はなるべく長い時間当ててください、もちろん直射日光は厳禁です。
また、花茎が成長する時期なので水やりや置き場所は、お花の状態と気温を見ながら行いましょう。
12月のお手入れポイント
日照時間の一番少ない時期ですが、日がある時はできるだけ日に当ててください。
寒い時期ではありますが、最低でも10°C以上は保てるように管理しましょう。
暖房機器の風が直接当たらないよう注意してください。
また冬場は乾燥しますので、胡蝶蘭の様子をしっかり見ながら水やりを行ってください。
その際、なるべく冷水は避けて胡蝶蘭にストレスを与えないよう注意しましょう。
この時期の植え替えは、よっぽどのことがない限り行わないでください。
根を傷めてしまうので、春を待ってから植え替えましょう。
第4章 病害虫について
胡蝶蘭に寄生する害虫や病気を事前に知っておくことで、正しい対処や回避ができ長く胡蝶蘭を楽しむことができます。
病気について
病気の原因には3つあります。
ウイルス・細菌・カビ
主にこの3つでまた、病気に似た症状の原因では肥料・薬害・温度・乾燥・強い光などもあります。
一番大事なのは症状を発見した時に、原因を的確に判断し間違った対処をしないようにすることです。
間違った原因で対処してしまうと、余計に胡蝶蘭を悪くしてしまうこともあります。
胡蝶蘭の病気は気づくのが遅くなればなるほど、寿命が短くなりますので早めに気づき、早く対処してあげましょう。
一般的な対処方法
・胡蝶蘭の患部を切り落とす
・株を植え替えて他の株への感染を防ぐ
・株を植え替えて元気な状態へ戻す
・薬を散布して病気の広がりを防ぐ
[ワンポイント]
・水やり、温度調節、飾る場所や適度な日光に当てるなどの配慮をして、健康に育てることで事前に病気を防ぎましょう。
・ハサミなどの刃物などの園芸道具はちゃんと消毒してから使用し、外部から病気を持ち込まないようにしましょう。
・人からも病気を持ち込まないようにしましょう、土や堆肥、他の植物を触った手はしっかり洗ってから胡蝶蘭に触れてください。
ウイルスによる病気の対処法
胡蝶蘭に感染するウイルスには数十種類あると言われており、害虫から媒介したり園芸用のハサミや人間の手からうつることもあります。
胡蝶蘭のウイルスで代表的なのが、CyMVとORSVです。
シンビジュウムモザイクウイルスとオドントグロッサムリングスポットウイルスの略です。
ウイルス病は一度発生すると完治するのが難しいため、ひどくやられてしまった花・株は処分するしかありません。
ですので、胡蝶蘭がウイルス病にかからないための対策が重要となります。
害虫は早めに見つけてすぐ駆除したり、園芸で使用する道具は消毒したり、作業台や人間の手もキレイに消毒するなどして、感染しないように注意しましょう。
[ワンポイント]
・胡蝶蘭に寄生する害虫は早期発見次第駆除、使用する道具などは必ず消毒しましょう。
・万が一ウイルス病にかかってしまった株は、他の株と離すか処分しましょう。
バクテリアによる病気の対処法
軟腐病
葉に濡れたような斑点ができて、そのまま褐色に変わり腐敗する病気です。
原因はエルビニアというバクテリア菌が原因です。
腐った部分からは濁った色の水分が染み出し、酷い腐敗臭がします。
さらに症状が進んでしまうと、飴状に溶けて最後は薄っぺらい紙のようになります。
この病気は進行が早いので見つけたらすぐ対処しましょう、1〜2日ほっておくだけで胡蝶蘭は致命的な状態になってしまいます。
葉に小さな水状の斑点を見つけたら、消毒したハサミかカミソリなどで患部より大きめに切り取ります。
そのあとは幹部とその周辺の株にバクテリアに有効なスターナかナレート、家にあるハイター、ミルトン、過酸化水素水を散布しましょう。
葉の付け根あたりまで病気が侵攻している場合、もう回復の見込みがないので胡蝶蘭を処分しましょう。
この病気は感染力が強いので、作業に使った道具や作業台、人間の手も消毒してから次の作業に移りましょう。
褐班細菌病
葉に濡れたような褐色の斑点ができて、徐々に広がり周囲が黄変します。
原因はシュードモナスというバクテリア菌です。
高温多湿にしていると病班はさらに進んで、葉全体を腐敗させて枯れてしまいます。
この病気にかかった場合すぐに処分するか、病気になった部分を完全に取り除き被害を最小限に抑えましょう。
薬での完治は困難なので、病気にかからないよう予防することが非常に大切です。