グレープアイビー(学名:Hedera Helix var.colchica)は、非常に人気のある観葉植物で、特にその美しい葉と耐陰性の高さから室内でも育てやすい品種です。
ここでは、グレープアイビーの育て方、増やし方、管理方法に関する詳細な情報を提供します。
グレープアイビーの基本情報
[別名]
シッサス、カンガルーアイビー
[科名]
ブドウ科
[原産地]
オーストラリア東部
[日当たり]
日なたと半日陰
[越し温度]
最低10°C以上
グレープアイビーは、常緑のつる性植物で、アイビー(ヘデラ)類の一つです。
葉は濃い緑色で、長いツルが特徴です。
耐陰性が高く、環境適応力があるため、室内でも問題なく育てる事ができます。
名前の由来や品種の特徴
葉の形がアイビー(ウコギ科)と似ていますが、ブドウの仲間です。
シッサス属は世界に300種以上あり、つる性が主流ですが多肉種もあります。
グレープアイビーの別名があるロンビフォリア、葉に深い切れ込みが入るエレンダニカ、カンガルーアイビーの別名があるオーストラリア原産のアンタルクティカなどが出回ります。
自生地での様子
つる性の低木で、多くは巻きヒゲをを利用し、ほかの木によじ登るように広がっていきます。
栽培下での生長の様子
生育が旺盛で、盛んにつるを伸ばして生長します。
あんどん仕立てにしたり、吊り鉢などに植えてしだれさせるとよいでしょう。
育て方
環境
・日当たり:明るい場所を好むが、直射日光には弱い。
窓際の明るい場所や、間接光の当たる位置が適しています。
日差しが強すぎる場合は、カーテンを使って光をコントロールしましょう。
・温度:グレープアイビーは比較的温暖な環境を好みます。
最適な温度は18℃から24℃です。
寒冷地では冬に寒さから守るために室内に入れる必要があります。
・湿度:湿度60%から70%が理想的ですが、乾燥時期には霧吹きで葉に水をかけることで湿度を調整できます。
土と鉢
・土壌:水捌けがよく、通気性に優れた土を選びます。
市販の観葉植物用の土や、ピートモス、パーライト、腐葉土を混ぜたものが適しています。
・鉢:鉢の底に排水穴があるものを選び、水捌けを良くして根腐れを防ぎましょう。
成長に合わせて鉢のサイズを変更することも必要です。
水やり
・頻度:土の表面が乾いたら水を与えます。
一般的には、春から秋の成長期には土が比較的早く乾きますが、冬季には水やりの頻度を減らします。
・水の量:植物全体が水分を吸収できるよう、鉢底から水が流れ出るまでしっかりと水を与えます。
・水質:汲み置きの水や雨水を使用すると、カルキを気にせず安心して植物に与えることができます。
肥料
・施肥のタイミング:春から夏の成長期に月に1回のペースで施肥します。
秋から冬にかけては成長が鈍化するため施肥は控えましょう。
・肥料の種類:観葉植物用の液体肥料を薄めて使用すると良いでしょう。
特に窒素、リン、カリウムのバランスが取れた肥料が理想的です。
増やし方
挿し木による増やし方
・時期:春から夏の間が最も適しています。
・方法:
1、健康な茎の先端から5〜10センチほどの部分を切り取ります。
2、切り口を数時間乾燥させ、挿し木が腐るのを防ぎます。
3、水または土に挿しこみます。
この時、水捌けの良い土を使用すると良いでしょう。
4、明るい場所に置き、定期的に水を与えます。
2〜4週間ほどで根が出てくるでしょう。
葉挿しによる増やし方
・葉挿しも可能ですが、成功率は挿し木に比べて低いため注意が必要です。
1、健康な葉を切り取り、葉柄を土に挿します。
明るい場所に置き、適度に水を与えます。
2、数週間後に新しい芽が出てくることがありますが、管理が難しいため、挿し木が推奨です。
管理方法
剪定
・重要性:子株を増やし、コンパクトに育てるために定期的な剪定が重要です。
特に茎が長くなったり、葉の色が悪くなった場合は、茎や葉を整えます。
・方法:新しい葉が出てくる場所で剪定すると、株の形成が促進されます。
病害虫管理
・病気:グレープアイビーは比較的病気に強いですが、根腐れやうどんこ病に注意が必要です。
特に過湿や風通しの悪い環境で病気が発生しやすいので、注意が必要です。
・害虫:アブラムシやハダニ、コナカイガラムシが発生することがあります。
植物を定期的に検査し、異常があった場合はすぐに対処します。
石鹸水やニームオイルを使った天然の農薬で対処できます。
簡単な育て方、管理方法、増やし方まとめ
[置き場所]
比較的耐陰性がありますが、明るい窓辺などにおいて日光に当てると徒長せずに育ちます。夏の直射日光は避けましょう。エレンダニカやロンビフォリアは比較的耐寒性があり、5°Cくらいでも越冬します。
葉に斑が入り裏面が紫色のディスカラー(セイシカズラ)は寒さに弱く、できれば15度°C以上で管理しましょう。
[水やり]
春と冬は土の表面が乾いてから、夏は土の表面がやや乾いてから与えます。水をやり過ぎると根腐れの原因になるので、特に冬に温度が低い場所で管理する場合はごく控えめにします。
[肥料]
春から夏にかけて薄い液肥を2週間に1回程度与えます。多肥を嫌うので、肥料は通常より少なめにしたほうが安心です。
[病害虫対策]
風通しが良くない場所では、カイガラムシやハダニが発生します。特に新芽や若い枝、弱光で軟弱に生長した株に付きやすいので気を付けましょう。
仕立て直しと増やし方
春から夏に、伸び過ぎた茎葉は好みの位置で切り詰めます。
ボリュームが乏しくなった株は、枝の先端から2〜3節を摘心すると、脇枝を出してこんもりとした株姿に生長します。
長く育てると、株元の葉が落ちたり葉がしなびたようになります。
思いきって短く刈り込んでから植え替えると、再び美しい株姿が楽しめます。
根が弱り下葉が落ちたら植え替える
根詰まりを起こすと、水を与えても吸収できなくなります。
葉が落ちたりまばらになるので、早めに植え替えましょう。
1、長く育てて根詰まりを起こした株は、葉が落ちてまばらになり、残った葉もしなびた印象で見栄えが悪いです。
剪定して新しい用土で植え替えましょう。
※水切れを起こすと、先端から枯れ込んできます。残った葉も色が悪いです。
2、株元が込み入っているときは、弱った茎を根元から剪定して元気な茎だけを残します。
3、全体が鉢よりひと回り大きくなるくらいの位置で切り詰める。
4、鉢から株を抜き、根鉢を叩いて古土を落とし、傷んだ根を取り除きます。
5、ひと回り大きな吊り鉢の鉢底にゴロ土を入れ、用土を少量入れます。
6、株を中央にすえ、用土を入れる。
7、わりばしなどを挿して前後に揺すり、沈んだ部分の土を足して隙間をなくします。
8、たっぷりと水を与えて植え替え完成です。新しい根が伸びるまでは半日陰で管理しましょう。
9、約2ヶ月後、腋芽がたくさん増えてこんもりとした株姿になります。
今後は込み入った部分の葉茎をすいたり、適宜切り戻しをしながら育てましょう。
新しい葉は、色も美しく、いきいきした印象です。
まとめ
グレープアイビーは、比較的育てやすく様々な環境に適応できるため、初心者にもおすすめの観葉植物です。
定期的な手入れと適切な環境を整えれば、長年にわたり美しい葉を楽しむことができます。
また、挿し木での増やし方も簡単なので、複数株を育てて楽しむことができるでしょう。
特に、観葉植物としての美しさだけではなく、空気清浄効果も期待できるため、室内の環境改善にも貢献します。
少しの手間をかけるだけで、あなたの生活空間を色鮮やかに彩るグレープアイビーをぜひ育ててみてください。