今回は仕立て方の種類、トピアリーやエスパリエについて解説したいと思います。
色々な仕立て方を覚えて、素敵な外観に仕上げましょう!
いろいろな仕立て方
庭木の仕立てには、樹形を生かしたものと人工的に仕立てたものがあります。
樹木が本来持っている性質や姿を保ちながら庭の環境にあわせて、野山に自生しているように、自然風に整枝・剪定するのが「自然樹形」です。
これに対して、花や緑、樹形などをより美しく楽しむために、刈り込んで自由に好きな形に仕立てるのが「人工樹形」です。
スタンダード仕立て、玉仕立て、円筒形や円錐形に仕立てる方法があり、好みの形を作るには刈り込みや整枝、剪定を繰り返して仕立てます。
下枝を落として上部を丸く刈り込むスタンダード仕立ては、最も簡単な仕立て物でコンテナでも育てられます。
洋風の庭や住宅にも合い、幹を編み込んだ三つ編み仕立てもできます。
仕立て方いろいろ
スタンダード ・円筒形 ・円錐形 ・玉仕立て
[スタンダード作りの楽しみ方]
スタンダード仕立ては360度どこからでも楽しめます。
毎年剪定して形作りますが、頂部を強く刈り込み横は軽く剪定するのがコツです。
[スタンダード仕立てに向く樹種]
・ゲッケイジュ ・サザンカ ・ツバキ
・ベニカナメモチ ・イヌツゲ ・コニファー
・ムクゲ ・ハイビスカス ・バラ
・モミジ ・ベンジャミンゴムなど
[ハイビスカスの三つ編みスタンダード仕立て]
下枝を落とした3本の苗の根鉢を崩し根元を固定して、幹を折らないように三つ編みに編みこんでコンテナ植えます。
[ゴールドクレストのスタンダード仕立て]
下枝を落とし、直立した幹の先端の小枝を球形に刈り込んで仕立てます。
枝垂れ性仕立ての楽しみ方
「枝垂れ」は、本来上に伸びる枝が伸長するに従い、重みに耐えられなくなって、自然に下に垂れる性質をもったもので、いわば自然樹形の一つです。
樹木のほかに、フクシアや球根ベゴニアなどの草本でも見られます。
[枝垂れ性仕立てに向く樹種]
・ゲウメ ・サクラ ・エゴ
・エンジュ ・モモ ・ヤナギ
・シラカバ ・モミジなど
鉢植えの枝垂れウメの仕立て
1、花が終わったら、外芽のすぐ下で枝を切ると伸びた芽が外側に広がって、美しい枝垂れの形になります。
2、外側に飛び出す枝は紐をかけて誘引し、幹に固定する。
主枝が傘を広げたように形作るとよい。
3、剪定や誘引後の枝垂れ梅の夏の姿。
[枝垂れ性の枝の切り方]
普通の枝とは逆に幹側が内芽、反対側が外芽になるが切るときは普通の枝と同様に外芽の先で切ります。
[剪定する箇所]
外側に向いている芽を伸ばすように剪定すると、波のように美しい弧を描いて枝が枝垂れます。
梅や桜、桃などには枝垂れ性の品種があるので、それらを仕立てるとよい。
トピアリーとエスパリエ
植物本来の姿にとらわれず動物や幾何学模様など、好きな形に刈り込んで仕立てたものを「トピアリー」といい、古代ローマ時代から庭の装飾にされてきました。
日本で親しまれている円柱形や円錐形の仕立て物もトピアリーの一種です。
トピアリーは強く刈り込んだり誘引して仕立てるので、刈り込みに強く、よく萌芽する樹種が使われます。
「エスパリエ」は樹木の仕立て方の一つで、ヨーロッパで発達しました。
主に果樹を壁面やフェンスに沿って立体的に仕立てていきます。
果樹は、実がつく枝を水平に誘引すると実つきが良くなる性質があるので、枝を横に誘引するエスパリエ仕立ては、理にかなった育て方といえるでしょう。
トピアリーの楽しみ方
ワイヤーのフレームを利用したトピアリーは、コンテナでも簡単に仕立てられるので人気があります。
日当たりの良い場所において楽しみます。
フレームは市販のものでも、好みの形をワイヤーで手作りしても良いでしょう。
[トピアリー仕立てにむく樹種]
・ボックスウッド ・イヌツゲ
・ゴールドクレストなどのコニファー
・イチイ ・キャラボク ・ヒイラギなど
市販のフレームを利用してトピアリーを作る
1、フィカス・プミラの鉢植えにフレームをかぶせ、ワイヤーに沿ってつる状の茎を這わせる。
2、つるが伸びるたびに誘引し、フレームを覆うように形作ります。
[イチイのトピアリー]
イチイは萌芽力が強く、思いのまま刈り込めるので複雑な形に仕立てることもできる。
[イヌツゲのトピアリー]
イヌツゲは生長は遅いが丈夫で刈り込みによく耐えるので、大型のトピアリー作りに向きます。
エスパリエの楽しみ方
すべての枝を平面的に仕立てるので、場所をとらず見た目にも美しく小さな庭でも楽しめる利点があり、コンテナ植えもできます。
クジャクが羽を広げたような扇型の仕立てや、横枝を伸ばさず縦のラインを強調する仕立てもあります。
[エスパリエ仕立てに向く樹種]
・ゲリンゴやナシ ・イチジク
・ブドウ ・サクランボ ・クリなど
リンゴのエスパリエ仕立て
1、苗木を植え付け、地際から60㎝程度のところで最も充実した芽の上で主枝を切ります。
2、1年後の冬に側枝を誘引する支柱やワイヤーを水平に張り、横に這わせる枝を選んで誘引します。
3、2年目の春には、誘引した側枝に花が咲きます。
4、伸びすぎた枝やこみ合った枝を切ります。
側枝を誘引する支柱は栽培する場所に合わせて数を決めます。
平面的に仕立てるので、奥行きのない場所でおしゃれな鉢植えが楽しめます。
まとめ
いかがでしたか?
仕立て方にも色々あり、小さなものから大きなものまであります。
初めの慣れないうちは戸惑うこともあると思いますが、慣れてくればスムーズにできるようになると思います。
仕立てる際に、扱う道具も使いやすいものを使用することをオススメします。