大事に育ててきた植物たちがある日突然病気になったり、害虫の被害にあっていたら悲しいですよね。
ここではそんな悲しいことにならないように、日頃のチェックポイントや病気・害虫から植物を防除の仕方をご紹介します。
病害虫のチェックポイント
大事に育ててきた植物を病害虫から守るには、植物を観察しこまめにチェックして早期発見することです。
早期に発見すれば、被害の拡大も防げます。
病害虫の種類も症状もさまざまですが、発見のためのチェックポイントは同じです。
日頃から葉の裏などもよく観察して、植物が出すサインを見逃さないようにしましょう。
サインを見つけたら、病気なのか害虫なのか原因を調べます。
病気と害虫では防除の方法が異なり、薬剤も違います。
病気か害虫か被害の原因がわかれば、それに対する適切な防除の対策が立てられるので、被害が最小限にとどめられるでしょう。
また、日当たりや通風を図り、水や肥料を過不足なく与えて植物が健康に育つように管理することも大事です。
害虫のチェック
害虫は植物の茎や葉、根などを食べる「食害性害虫」と植物について汁液を吸う「吸汁性害虫」に大別されます。
害虫は、まずその正体を知ることです。
被害を受けた部位と被害の症状から害虫を見分けましょう。
葉の裏にいることも多いので、葉裏もよくチェックします。
主なチェック項目
・芽や花、果実が食害されていないか?(コガネムシ、芋虫など)
・葉や花に網を張られていないか?(ハダニ)
・葉に絵を描いたような白い線が出ていないか?(ミカンハモグリガなど)
・数枚の葉が巻かれていないか?(ハマキムシ)
・葉に白い光沢のある這い跡がついていないか?(ナメクジ)
・葉や茎に小さな虫が密着していないか?(アブラムシなど)
病気のチェック
病気は、カビや細菌、ウイルスなどに感染して発病します。
発病すると生育が異常になり、ひどい場合は枯れてしまいます。
病気に気づくのは目に見える症状が出てからですが、植物が軟弱な状態の時などにも発生するので、病気に侵されず丈夫に育つように管理することが大事です。
主なチェック項目
・花や葉にモザイク状のまだら模様がないか?(モザイク病)
・葉に角ばった黄斑が出ていないか?(べと病)
・うどん粉をまぶしたようなカビが生えていないか?(うどん粉病)
・葉や果実が腐り、カビが生えていないか?(灰色かび病)
・茎の地ぎわや根が溶けたように腐っていないか?(なんぷ病)
・葉にすすのようなカビが生えていないか?(すす病)
病害虫の予防と対策
害虫の中には病気を媒介するものもあり、害虫の防除を行うことで、病気の防除にもなります。
病気は、長雨で日照不足、高温多湿など病原菌が増えるのに都合がよい環境や栄養の過不足で植物が軟弱な状態の時に発生します。
何よりも病害虫を寄せ付けない環境を作ることが基本です。
そのためには、栽培する土地に合う植物をのびのびと育てることです。
病害虫に強い品種や接木苗を選び、連作障害を避けるために輪作し、病害虫の出にくい土作りをしたり、肥料や水やりに注意して丈夫な株づくりとともに、早期発見、早期防除を心がけることが大事です。
毎日の観察を怠らず、病気の兆候や害虫の食害を見つけたらすぐに駆除することも大切です。
[鉢を地面に置かない]
害虫の侵入を防ぐために、鉢は直接地面に置かないようにしましょう。
[株間をとって植える]
密植すると苗が軟弱になり病害虫が発生しやすくなります。
[健全な球根やタネを用意する]
球根はカビが生えていたり傷や病班のないもの、種子は新しいものを選びます。
[樹木類は枝葉をすかす]
適度に整枝・剪定をして、採光と通風をよくし、蒸れないようにします。
[バークチップでマルチをする]
バークチップが病気の原因になる雨による泥はねを防止し、土の乾燥も防ぎます。
[こまめに花がらを摘む]
病気の原因になる咲き終わった花がらや枯れた葉はこまめに摘みとります。特に梅雨の時期は注意が必要です。
[肥培管理を正しくする]
窒素過多になると植物が軟弱に育ち、害虫や病気に弱くなるので、適切な肥料を適正に施します。
[こまめに除草する]
病害虫の発生を防止するために、畑や花壇はもちろん、鉢植えも雑草はこまめに抜きます。
薬剤を使わない防除
病害虫対策には、薬剤を使わずに防除する方法と、薬剤を散布して防除する方法がありますが、薬剤をたびたび使うと、害虫ではない益虫も殺すことになってしまいます。
天敵がすめるようにすることで、害虫を少なくすることもできます。
また、寒冷紗やシルバーマルチ、有色トラップなどの資材を利用したり、植物の力で病害虫を防ぐ効果のある「対抗植物」といわれるマリーゴールドやエンバク、ニンニク、ネギなどやナスタチウム、シロツメクサのように、特定の害虫を引き寄せ、被害から守る「バンカープランツ(おとり植物)」などの植物を利用して防除もできます。
なお、害虫は被害を受けた部位を見つけたら必ず近くにいます。
根気よく探して捕殺しましょう。
エコ防除法
病害虫が出にくい環境を作ることも大事ですが、家庭園芸では寒冷紗や有色トラップなどの資材や天敵、拮抗植物を利用したりして、できるだけ薬剤に頼らない「エコ」防除を心がけましょう。
[こも巻きをする(バンド誘刹)]
秋に幹にこもやわらを巻き、害虫の越冬場所を作り害虫を集めます。
立春のころに焼き捨てます。
[台所用洗剤を利用する]
水を入れた容器に台所用洗剤を1、2滴落とし、害虫を手で払い落とします。
[ヘラでこすり落とす]
カイガラムシはヘラや歯ブラシなどでこすり落とします。
[雨よけする]
トマトは雨よけ栽培をすると病気を予防し、裂果が少なくなります。また雨に当てないことによって、病原菌が増殖したり飛散したりするのを防ぎます。
[不織布をトンネルがけする]
葉菜類などに寒冷紗や不織布をトンネルがけして害虫の侵入を防ぎます。
[粘着トラップ(有色トラップ)]
害虫が黄色や青など特定の色によってくる性質を利用した資材です。黄色にはアブラムシなど、青色にはアザミウマが誘引されます。
[袋かけをする]
大きくなりはじめたリンゴや梨などの果実には袋をかけて防虫します。
[天敵を利用する]
アオムシの天敵、アオムシコマユバチはアオムシの体内に卵を産みつけ寄生してアオムシを退治するので、黄色い卵を見つけたら取り除いたり薬を散布しない。
[対抗植物を利用する①]
対抗植物のマリーゴールドはセンチュウを駆除する効果があります。
[対抗植物を利用する②]
ソルゴーはアザミウマやアブラムシの天敵の活躍を助けるので畑に植えるとよい。
まとめ
以上、植物を病気や害虫から守る方法と主なチェックポイントでした。
一番は植物にとって最適な環境で育ててあげること、健康で丈夫に育ててあげることが病気や害虫から守りやすくなります。
日々のチェックを怠らないようにし、大切な植物を守ってあげてください。