植物を元気に育てるためには、種類・用途別の肥料と施し方があります。
ここではコンテナ植え・庭植え・野菜に与える肥料と施し方をご紹介します。
コンテナ植えの肥料と施し方
土の量が限られた鉢植えの植物は、植え付けた時に元肥を十分施しても
水やりのたびに流失してしまい養分が不足するため、生育に必要な肥料を補わなければなりません。
生育期に葉の色が薄くなったり、花が小さくなったりするのは栄養失調の症状です。
追肥を忘れたり、施す時期が遅れたりすると起こります。
ただちに追肥を施さなければなりません。
ただし、肥料は多すぎても害になります。
多量に施すと、根が吸収しきれず土中の肥料濃度が高くなり
根の水分が奪われ、やがて枯れてしまいます。
これが「肥料焼け」です。
少々肥料分が不足気味より厄介な症状です。
大量に施さないことが肥料を施すポイントです。
少しずつ何回かに分けてバランスよく与えましょう。
元肥の施し方
苗を植えるときに、あらかじめ用土に肥料をまぜておきます。
元肥は植物のその後の生育を左右するので3要素のバランスがよく、効き目が持続するものを使います。
1、赤玉6と腐葉土4の混合土1ℓ当たり、化成肥料3〜4g入れます。
2、ムラにならないように用土によく混ぜます。
3、1週間くらいなじませてから植え付けに用いる。
活力剤は、植物が元気のない時に与えると根の活力が増すといわれています。
追肥の施し方
鉢土の上に置いたり、浅く埋めたりする置き肥をします。
大粒のものや錠剤型のものは株元から離して置き、水をやるときは肥料の上から水を与えます。
1度施せばよいものではなく、約1〜2ヶ月で肥効が薄れるので、形が残っていても古い肥料を取り除いて新しいものに交換します。
この時、新たに場所を変えて置きます。
株元近くに置くと植物が傷むので鉢の縁に置き、根に当たらないように注意します。
[置き肥にカビが発生、放置して大丈夫?]
鉢植えに水をやっていると固形の油かすにカビが生えてきて、そのままにしていいものか心配になります。
しかし、このカビは植物に感染して病気を発生させることはないので
肥料の効果が続いている間は、鉢土に置いても大丈夫です。
液肥の施し方
液肥は、固形肥料よりさらに効き目が早いものです。
粉末と液状があり、水に薄めて用いますが必ず規定の濃度に薄めて使います。
肥効は7〜10日間です。
生育の盛んな時は週に1回、水やりの代わりに鉢底から流れるくらいまでたっぷり施します。
[液肥は希釈倍率(薄め方)を守ってこそ効果が上がる]
液肥は正しく量る習慣をつけたいものです。
液体でも粉末でも1g=1ccを目安にし、液体肥料についている小型の計量カップや目盛り付きの蓋で原液1ccをとり
1ℓの水に混ぜれば1000倍の液肥になります。
また、2ℓのペットボトルに水を満たし2ccの原液を入れれば、1000倍の液肥が2ℓできます。
庭植えの肥料と施し方
庭土そのものには肥料成分が含まれているので、庭植えの樹木などには鉢植えのようにこまめに施す必要はありません。
ただし、苗木や若木、生け垣などは冬、春、秋口に肥料を与えるとよいでしょう。
樹木は枝が伸びているあたりまで根が広がっているので、その付近に肥料を施すと効果的です。
果実を実らせた果樹類には、お礼肥を施します。
また、春に元気に芽を吹くように寒い冬にゆっくり吸収できる寒肥を施します。
ユキヤナギやツツジなどの灌木は樹冠下の内側に有機配合肥料をばらまいて、浅く耕して土にまぜこみます。
花壇の多年草は、花が7分ほど咲き終えたら緩効性の化成肥料をばらまき、株の周囲を中耕して土にまぜこみます。
庭植えの肥料の施し方
高木は樹冠の真下に溝を掘って埋めこみ、灌木や多年草は樹冠の内側にばらまき、土とまぜ合わせます。
ユキヤナギは1〜2月と9月に肥料を施すと、枝が見えないほど花を咲かせます。
潅木や多年草への寒肥やお礼肥の施し方
1、根元付近の地面を浅く掘り、有機質肥料を土が隠れるくらいに均一にまきます。
2、根を傷めないように注意し、土にまぜこみながら埋めもどします。
花壇の多年草への肥料の施し方
肥料効果が長持ちする有機質肥料か、緩効性化成肥料を株元にばらまき、中耕をかねて土にまぜこみます。
庭木・果樹の寒肥やお礼肥の施し方
1、養分を吸収する細根が集中している樹冠の真下の長さに切った紐を、樹木に結んで円を描いていく。
2、描いた外周にそって20㎝くらいの深さで溝を掘ります。
3、寒肥に使う肥料は油かすや骨粉、草木灰などをブレンドして作るとよい。
4、ブレンドした有機質肥料を溝に施し、土と軽く混ぜて埋め戻します。
野菜の肥料と施し方
野菜を作るときも、種をまいたり苗を植えたりする前に土にまぜる元肥や、生育途中に追肥を施します。
野菜には葉を利用するもの、果実を利用するもの、根を利用するものなど、さまざまな種類があります。
これらの種類によって、あるいは生育段階によって養分の吸収のしかたや量が違ってくるため
元肥の量や追肥の量と与える回数が変わってきます。
必要以上に与えても余分な分を取り戻すことはできません。
肥料分が不足しても枯れることはありませんが、与えすぎると枯れることがあります。
肥料に含まれている成分や種類、効き方の早い、遅いなどを考慮してバランスよく与えることが大事です。
適量の肥料を、根がすぐに吸収しやすいところに施すのがコツです。
全面施肥と溝施肥
元肥の施し方には「全面施肥」と「溝施肥」があります。
根の張り方や生育期間などを考慮し、それぞれに適した施し方をしましょう。
[全面施肥]
堆肥などの有機物や化成肥料などを畑全面に散布し、土とよくまぜる。
作付けの2〜3週間前に施して土になじませておくと良い。
大根や人参のように直根の根菜、きゅうりなどの浅根性の果菜、小松菜やほうれん草などの栽培期間の短い葉菜類に適した方法です。
[溝施肥]
畝の中央に溝を切り、溝の中に堆肥などの有機物や化成肥料などを施します。
キャベツや白菜のように栽培期間の長い葉菜類、トマトやナスのような深根性の果菜に適した方法です。
[鞍つき]
溝施肥のひとつで、局所施肥ともいう。
植え付け場所に丸い穴を掘り、元肥を穴に入れて埋め戻す方法で
葉を大きく広げ、株間を広くとるズッキーニやスイカ、カボチャなどに適した方法です。
養分を補う追肥
栽培期間の長い野菜は、育つにつれて肥料の吸収量も多くなるので、追肥が必要になります。
株元や株の周囲、畝全体など、根がすぐに吸収できる場所に施し、中耕をして土に混ぜ込みます。
数回にわたって追肥をするときは、根が伸びるに従って徐々に株から離れたところに施します。
[養分吸収は葉でもする?]
一時的な肥料切れや生育不良の時には葉面散布して、肥料切れを直すことが可能です。
肥料の5要素や微量要素などを液体肥料にして、葉に散布すると土に施すより早く吸収されます。
専用の葉面散布剤が市販されているので、決められた濃度に薄めて
霧吹きで葉の両面にまんべんなくかけるようにすると良いでしょう。
ただし、あくまでも応急対策ですから土作りをしっかりして、忘れずに追肥をすることが大事です。